佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ 《メリー・ウィドウ》記者会見

関西ならではのキャスト 桂文枝&香寿たつきも出演!

 充実のキャストとオリジナリティ溢れる演出、そして何よりもマエストロの熱のこもったタクトで毎回、多くの観客を虜にしてきた「佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ」。今年はオペレッタの名作《メリー・ウィドウ》が上演される。同作は2008年に取り上げられ、ハンナ役の故・佐藤しのぶの名演技はじめ、近隣の宝塚歌劇のショーを彷彿とさせる華麗なステージで大評判となった。13年の時を経た今回、キャスティングも新たに「改訂新制作」版として披露される。日本を代表する歌手陣に加え、元・宝塚歌劇団星組トップスターの香寿たつきや落語家の桂文枝が登場するのも話題だ。

左より:広渡勲、佐渡裕、並河寿美 撮影:飯島隆/提供:兵庫県立芸術文化センター

 7月の公演に先立ち、5月25日、上演会場である兵庫県立芸術文化センターにて記者会見が行われ、芸術監督で指揮者の佐渡裕、演出&日本語台本の広渡勲、ハンナ役のソプラノ並河寿美が登壇した。
 同プロデュースオペラでは“常連”で、「私なりのハンナを演じたい」と意欲を見せるソプラノ並河寿美の挨拶。そしてシリーズを牽引してきた佐渡は、これまで歩んできたオペラの道を次のようにふりかえる。

「先日、還暦を迎えたばかりだが、このシリーズも15年目となった。思い返せば、最初に《ヘンゼルとグレーテル》を上演し、これが成功だった。街にオペラの文化を作ろう、次はグランドオペラでいこう、と思い、プッチーニの《マダム・バタフライ》を取り上げた。この時が自分にとって初の《バタフライ》。オペラブッファもやったし、ブリテンの《真夏の夜の夢》やバーンスタインの《キャンディード》も上演した。
 その中で自分として誇らしいのは広渡さんが演出した2008年の《メリー・ウィドウ》だった。関西でしか作れない唯一の舞台。ここ関西には宝塚歌劇があるが、宝塚を観に通うお客さんたちに大編成のオペラを観てほしい思いから、宝塚の俳優さんに登場していただいた。また関西のお笑いの文化があるので、芸人さんたちに出演してもらった。一番思い出が詰まっている舞台」

「《カルメン》を上演した時、街でお客さんに声をかけられ「先生、人が死ぬオペラやめてください」って(笑)。この人は《メリー・ウィドウ》をきっかけにオペラを観るようになった人だった。このような人が増えていったことを実感した」

佐渡裕 撮影:飯島隆/提供:兵庫県立芸術文化センター

 今回の「改訂新制作」版についても期待を込める。
「ダニロのバリトン黒田祐貴さんは、僕の少年合唱団の後輩にあたる二期会の黒田博さんの息子さんで、親子二代と共演できるのは嬉しい。ハンナの並河寿美さんも素晴らしい。新しいキャストと仕事ができるのも楽しみ。いまの状況だからこそ感動できて、笑える《メリー・ウィドウ》が伝わってほしい」

 演出を手がける広渡も今回の舞台への抱負を述べた。
「《メリー・ウィドウ》再演に大変に感謝している。私も昨年80歳になった。《メリー・ウィドウ》は舞台生活のグランドフィナーレ。関西は日本の舞台芸術発祥の地。お客さんたちの感性は東京の人とちょっと違う。究極のエンターテインメントには職人芸が必要だと思う。コロナ禍でソーシャルディスタンスを考慮した演出は考えている。先日観た歌舞伎では、1メートルの煙管(きせる)を使っていた(笑)。《メリー・ウィドウ》で言えば、ハンナとダニロは、互いに意識しながらも、なかなかくっつかない。今年この作品にして良かった(笑)。世相を映し出す演出になると思う」

新世代の歌手にも注目

高野百合絵

 ニエグシュ役で全日出演する桂文枝は「NHKのニューイヤーオペラコンサートに出させていただいたことがある。オペレッタは喜劇。楽しく観てほしい。他の方と一緒に歌って踊る場面もあるので全力で取りくみたい」、そしてダブルキャストでハンナを演じる若手歌手の高野百合絵(佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ初出演)も「阪神で私の歌手生活がスタートした。兵庫県立芸術文化センターは歌手としてオーケストラと初めて歌った舞台。稽古が始まっているが、ハンナのプライベートな面を掘り下げたい。ハッピーな《メリー・ウィドウ》の世界にお連れしたい」とそれぞれリモートでメッセージを寄せた。

【Information】
佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ 2021
喜歌劇 《メリー・ウィドウ》
(作曲:フランツ・レハール)
(全3幕/日本語上演・日本語字幕付/改訂新制作)
指揮:佐渡裕
演出・日本語台本:広渡勲
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
合唱:ひょうごプロデュース合唱団

出演
ハンナ・グラヴァリ:高野百合絵★ 並河寿美☆
ミルコ・ツェータ男爵:折江忠道★ 片桐直樹☆
ヴァランシェンヌ:高橋維★ 市原愛☆
ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵:黒田祐貴★ 大山大輔☆
カミーユ・ド・ロシヨン:小堀勇介★ 樋口達哉☆
カスカーダ子爵:小貫岩夫★ 水口健次☆
ラウール・ド・サンブリオッシュ:大沼徹★ 晴雅彦☆
シルヴィアーヌ:香寿たつき(全日)
ニエグシュ:桂 文枝(全日)

★7/16, 18, 21, 24 ☆7/17, 20, 22, 25

2021.7/16 (金)、 7/17 日(土)、7/ 18(日)、7/ 20(火)、7/21(水)、7/22(木・祝)、7/24(土)、7/25(日)
各日 14:00 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
問: 芸術文化センターチケットオフィス0798-68-0255

兵庫県立芸術文化センター
https://www1.gcenter-hyogo.jp