フジテレビ系のドラマやアニメ『のだめカンタービレ』の音楽演奏を行い、ソロやオーケストラとの共演、室内楽において幅広く活躍する沼光絵理佳のデビューアルバム。映画『にしきたショパン』用に沼光によって編曲・演奏されたラフマニノフのピアノ協奏曲第2番のピアノ独奏版は第1楽章と第3楽章を違和感なく巧みに接続、オーケストラパートの表現もまたダイナミックで秀逸。アルバムで多数を占めるショパンにおいても基本的に落ち着いたテンポで各部の表情を深く掘り下げており見事なものだ。ラフマニノフ同様『にしきた〜』で用いられた近藤浩平の「ひとのふるさと」も傑作だ。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2021年6月号より)
【information】
CD『レフト・オブ・ショパン―祈りのためのピアノ 作品集―/沼光絵理佳』
フランク:前奏曲、コラールとフーガ/ショパン:練習曲第2番、前奏曲第15番「雨だれ」、スケルツォ第2番、ノクターン第20番、バラード第4番/近藤浩平:海辺の雪〜震災と津波の犠牲者への追悼、ひとのふるさと〜左手のソロの為の/ラフマニノフ(沼光絵理佳編):ピアノ協奏曲第2番 他
沼光絵理佳(ピアノ)
録音研究室(レック・ラボ)
NIKU-9036 ¥3080(税込)