マイスター・ミュージックにおいて福田進一がプロデュースする「ギター・ディスカバリー・シリーズ」の4人目は岡本拓也。選曲がユニークで、バリオスやソル、ヴィラ=ロボスらに加えパット・メセニーやカラハン、パリエール、クレンジャンスといったほぼ「未知の」作曲家が取り上げられている。岡本の演奏は明晰かつ颯爽としており、情緒的というよりは運動性に富んだ表現が印象的。その意味では末尾に収録されたメセニー作品がまさに岡本にぴったりで、こういったグルーヴ感はそれまでの「クラシックギタリスト」にはなかなかないもの。「定番曲」も新鮮さに満ちる。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2021年6月号より)
【information】
CD『1―ワン― 福田進一 ギター・ディスカバリー・ シリーズ Ⅴ/岡本拓也』
カラハン:3つの川辺の情景/バリオス:母へ、大聖堂、祈り/ソル:練習曲op.6-11/クレンジャンス:2つの舟歌/パリエール:プレリュード/ヴィラ=ロボス:12の練習曲第4番、同第1番、5つの前奏曲第5番/メセニー:「4つの光の道」より〈1〉、ハヴ・ユー・ハード(閑喜弦介編) 他
岡本拓也(ギター)
マイスター・ミュージック
MM-4091 ¥3300(税込)