【CD】ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調/クルレンツィス&ムジカエテルナ

 鬼才クルレンツィスのベートーヴェン第2弾。交響曲第7番は、ピリオド・アプローチの粗野な響きで激しく前進駆動する。序奏終わりのfpは短く鋭い。主部のトゥッティは推進力が凄まじく攻撃的だ。内声の自発的で即興的な強調も独特。第2楽章の主題のppは驚くほど小さく、中間のまろやかな木管の下のバスのピッチカートは太鼓のように響く。フガートも精緻できれい。スケルツォのリズムの切れ味とノリの良さは抜群で爽快だ。トリオはかなり速い。終楽章は反復をすべてやっても冗長にならず、むしろ興奮を高める効果を発揮してやまない。現代最高のベートーヴェン。
文:横原千史
(ぶらあぼ2021年6月号より)

【information】
CD『ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調/クルレンツィス&ムジカエテルナ』

ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調

テオドール・クルレンツィス(指揮)
ムジカエテルナ

ソニーミュージック
SICC-30566 ¥2420(税込)