【CD】Meine Lieder/黒田祐貴

 次世代を担うアーティストを紹介する日本コロムビアの「オーパス・ワン」レーベル、その第3弾からバリトンの黒田祐貴。ここではイタリア語とドイツ語の歌が取り上げられているが、どの歌も様式的に全く違和感なく実に自然に歌い分けている点に黒田の非凡さが浮き彫りになる。明晰かつ丁寧なディクションと豪放磊落さが備わったロッシーニ、儚く夢幻的な空気と甘美な情感を漂わせるコルンゴルトなど実に見事なものだ。こののち黒田が真の大歌手になろうとも、この若き日の録音の価値は揺るがないであろう。ヴィヴィッドな山中惇史のサポートも抜群。入念なセッション録音ゆえ音質も極上だ。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2021年4月号より)

【information】
CD『Meine Lieder/黒田祐貴

ロッシーニ:歌劇《セヴィリアの理髪師》より/モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》より/ブラームス:私の歌/マルクス:かつてのように/R.シュトラウス:君を愛す/マーラー:美しいトランペットが鳴り響くところ/コルンゴルト:歌劇《死の都》より/山中惇史:おんがく 他

黒田祐貴(バリトン)
山中惇史(ピアノ)

オクタヴィア・レコード
OVCC-00161 ¥3200+税