尾高忠明(指揮) 札幌交響楽団 東京公演

札響サウンドで味わうシベリウスの魅力

(C)浦野俊之
(C)浦野俊之

 シベリウスの生誕150年となる2015年を目ざし、13年からスタートした尾高忠明と札幌交響楽団による交響曲ツィクルス。第1回は札幌での定期演奏会および東京公演で交響曲第1番・第3番と「フィンランディア」を取り上げ、尾高らしいがっしりとした音楽とシベリウスを得意とするオーケストラのサウンドが相まって、威厳ある巨石のような演奏をホールに響かせた。
 シリーズ第2回はもっともポピュラーであり「札響の十八番。ウェールズでの公演でスタンディング・オベーションを受けたほど素晴らしい」と尾高が語る第2番、そして熱狂的シベリウス・ファンが高く評価する第4番を取り上げる。
 第2番には作曲者が滞在したイタリアの明るさや古い芸術の香りが反映されつつ、大きな影響を受けていたフィンランドの叙事詩『カレワラ』の幻想的な雰囲気も色濃く出ている。「シベリウス自身が病んでいて苦悩している時期に、希望の光を見出すような音楽」だと語る第4番は、深く暗い森の中を彷徨うような不気味さと“魂の震え”が音楽で描かれ、初めて聴く人はそのディープな世界に引き込まれるだろう。
 コンサートでは、優しさと愛らしさに心がとろけるような弦楽合奏曲「恋人」も演奏され、札響サウンドをたっぷりと味わえるはず。このコンビだからこそ生まれる芯の強い音楽が、あなたの“シベリウス観”を変えてしまうかもしれない。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2014年2月号から)

★3月5日(水)・サントリーホール
問:カジモト・イープラス 0570-06-9960 
http://www.kajimotoeplus.com

他公演 
第567回 定期演奏会〜シベリウス交響曲シリーズ vol.2〜
2/28(金)、3/1(土)・札幌コンサートホールKitara
問:札幌交響楽団 011-520-1771