歌心溢れるイタリア作品を集めて
今年で結成25周年を迎えるエルデーディ弦楽四重奏団。東京芸大の出身者で構成され、メンバー全員が室内楽やオーケストラの第一線で活躍する腕達者たちだ。毎回凝った選曲で洗練された演奏を聴かせる彼らが今回届けてくれるのは、イタリアの作品でまとめられた華麗なプログラム。昨年生誕200周年を迎えたヴェルディの四重奏曲は、オペラ《アイーダ》のナポリ初演がソプラノ歌手の病気で延期になった際、空き時間を利用して書かれたという逸話でも有名な作品だ。映画音楽の巨匠ニーノ・ロータの瀟洒な弦楽四重奏曲や、プッチーニやレスピーギにも匹敵するロマンの薫り高い、ピツェッティの第2番も大いに楽しみだ。いずれもイタリアものならではの歌心溢れる名演が期待される。特に注目なのは、ヴェルディ作品の最大の難所と言える最終楽章。音程を取り難いスケルツォ風のフーガが、彼らの妙技によって、ドラマティックかつクリアな伽藍のように立ち昇ることだろう。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ2014年2月号から)
★2月16日(日)・第一生命ホール
問:トリトン・アーツ・ネットワーク・チケットデスク03-3532-5702
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