セルゲ・ツィンマーマン(ヴァイオリン)

父の美点を継承し、新たな道を切り開く

(C)Franz Hamm
(C)Franz Hamm

 “フランク・ペーター・ツィンマーマンを父にもつヴァイオリニスト”。音楽は血筋と環境が重要ゆえに、この点だけでも聴く価値はある。しかしドイツが誇る同楽器の名手の子セルゲ・ツィンマーマンは、「完全なる奇跡」とまで賞賛された逸材。期待度の高さは血筋レベルを超えている。1991年生まれの彼は、9歳でコンチェルト・デビュー。以来、バンベルク響、チェコ・フィルほか多数の著名楽団と共演し、コンセルトヘボウやウィーン・コンツェルトハウス等でリサイタルを行っている。日本にも2011年11月のN響定期でデビュー(指揮は奇遇にも優秀な息子をもつネーメ・ヤルヴィ)。今回はピアノに、若手との共演に長けた伊藤恵を得ての初リサイタルとなる。演目は、シューマン、ドビュッシーのソナタなどにベートーヴェン「クロイツェル」という王道本格もの。真価が露になるこの選曲には正統派たる自負が表れている。これまでに聴く彼の特徴は端正な美しさと繊細な表現。そして今回はさらなる“音楽力=個性”が示されるはず。それをぜひ知りたい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2014年2月号から)

エスポワール スペシャル11 セルゲ・ツィンマーマン
★2月16日(日)・トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター 03-5840-2222 
http://www.toppanhall.com