キアロスクーロ・カルテット

古典派四重奏曲の光と影を映し出す大胆なアプローチ

左より:クレール・ティリオン、エミリエ・ヘーンルント
パブロ・エルナン・べネディ、アリーナ・イブラギモヴァ
C)Eva Vermandel

世界中の名舞台で活躍するヴァイオリニスト、アリーナ・イブラギモヴァは、ソリストとしての華々しい活動と並行して、2005年結成の「キアロスクーロ・カルテット」で弦楽四重奏の奥深い世界も追求している。今年4月には四重奏団として3度目の来日公演を行い、結成15年を経た境地を聴かせる。

「キアロスクーロ」とはイタリア語の「明暗」。19年来日時のテレビインタビューによると、結成当初、ロンドンで学んでいた4人がロジャー・ノリントンの指導を受けた際に言われた言葉で、「光と影」など表現上の対比を意味するという。ロシアのイブラギモヴァをリーダーに、スペイン、スウェーデン、フランス、各国の名手4人が構築する、対比と融合の妙は注目。ガット弦とヒストリカルな奏法による清新な響きを特色とし、ライブでは表現意欲と集中力の高いパフォーマンスを実現、室内楽ファンの高評価を得ている。チェロ以外の3人が立奏するのも特徴で、先の放送でも「立つことで自由になり、心地よく響く」と語っていた。

今度の来日で披露するのは、ハイドン第77番「皇帝」・第35番(op.20-5)、ベートーヴェン第7番「ラズモフスキー第1番」。特に「皇帝」「ラズモフスキー」は古典派四重奏曲の頂点というべき名曲であり、彼らの鮮烈なアプローチで聴けるのは待望の好機。会場は16年の日本デビューから毎回公演を継続している王子ホール。彼らの演奏スタイルに適したサイズと音響をもつ“日本のホーム”で、目のさめるような体験を。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年3月号より)

*新型コロナウイルス感染拡大防止のための防疫措置(14日間待機等)により、メンバー全員のスケジュール調整が困難なため来日が叶わず、公演延期となりました。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

2021.4/6(火)18:00 王子ホール
【延期日程】2022.2/20(日)時間未定
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990
https://www.ojihall.jp

他公演
2021.4/3(土) フィリアホール(045-982-9999)
【延期日程】2022.2/19(土)17:00