【CD】音の旅〜夜明けのセレナーデ〜/工藤重典&福田進一

 ライナーによれば1979年からの共演歴を誇る工藤重典と福田進一によるフルートとギターのデュオ作品集、まさに練達の出来栄え。オリジナル曲とアレンジ曲をうまく織り交ぜてまったく退屈させないが、中でもヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ 第5番」のアリアの哀切さに満ちた歌、対照的にショパンの「ロッシーニの主題による変奏曲」での快速かつ技巧的なパッセージを難なく吹き切る工藤は特に冴え渡る。どちらかと言えばフルートが主役のアルバムだが、ある時は対等に渡り合い、またある時にはスッと背後に回る福田のギターも相手の手の内を知り尽くしたがゆえの名人芸と言うべき。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2020年12月号より)

【information】
CD『音の旅〜夜明けのセレナーデ〜/工藤重典&福田進一』

ヴィラ=ロボス:アリア ブラジル風バッハ第5番/ミヨー:コルコバード/ロドリーゴ:夜明けのセレナーデ/ドゥミヤック:中世風小組曲/ペルゴレージ:シチリアーナ/ショパン:ロッシーニの主題による変奏曲/モーツァルト:なんと美しい絵姿、妹よ ごらんなさい 他

工藤重典(フルート)
福田進一(ギター)

マイスター・ミュージック
MM-4082 ¥3000+税