熟練の技と名曲に酔う極上の時間
名手が気さくにトークを交えつつ紡ぐ珠玉の名曲を、少し遅めの開演時間からじっくりと楽しめるシリーズ「夜クラシック」。第25弾には、日本を代表するヴァイオリニストの前橋汀子が、実力派ピアニストの松本和将とともに初登場し、ベートーヴェンの「クロイツェル・ソナタ」を軸に、艶やかな音色で魅せる。
2017年に演奏生活55周年を迎え、持ち前の優雅なプレイに、いっそうの円熟味を纏わせた前橋。ベートーヴェンの記念年に「彼の音楽は時代を超え、人々に感動と勇気を与え続けているのだと、改めて偉大さを感じる」と話し、「ぜひ弾きたいと思った」という「クロイツェル」を披露する。
さらに、1736年製グァルネリ・デル・ジェスの美音で、サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」、マスネ「タイスの瞑想曲」やサン=サーンス「序奏とロンド・カプリチオーソ」、エルガー「愛の挨拶」と名曲の花束を届ける。そして冒頭では、「夜クラ」恒例のドビュッシー「月の光」も。「全曲が聴きどころ! 皆さんに楽しんでいただければ」と前橋は言う。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2020年10月号より)
2020.10/6(火)19:30 文京シビックホール
問:シビックチケット03-5803-1111
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