【CD】マエストロ・サンティ・オーケストラ・ワークス/サンティ&N響

 今年2月に亡くなった名指揮者ネッロ・サンティを偲ぶ。イタリア・オペラの名匠中の名匠であり、N響にも定期的に出演を重ね、その至芸を何度も披露してくれた。N響とのライブを集めた当コンピ盤は、得意のオペラ楽曲と、歌心に構築性の高さも兼備した交響曲、両面がまとめて聴ける。いずれもN響から明快な音響と劇性を巧みに引き出し、対向配置ならではの第2ヴァイオリン・ヴィオラの表現力も見逃せない。結尾に置かれた序曲「レオノーレ」第1番は、推進力ある快活な流れ、しなやかで瑞々しい響きがすばらしく、サンティの指揮ぶりと笑顔が浮かんでくるような、痛快な名演だ。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2020年10月号より)

【information】
CD『マエストロ・サンティ・オーケストラ・ワークス/サンティ&N響』

プッチーニ:歌劇《ヴィルリ》より〈妖精の踊り〉/チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」第4楽章/ヴェルディ:歌劇《ルイザ・ミラー》序曲/ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」第4楽章、交響曲第8番第1楽章、序曲「レオノーレ」第1番 他

ネッロ・サンティ(指揮)
NHK交響楽団

収録:2005年12月、横浜みなとみらいホール(ライブ) 他
マイスター・ミュージック
MM-4080 ¥3000+税