【CD】ラッパは鳴り響き/ハインリヒ・ブルックナー

 ウィーン響の首席奏者を長年務めつつ、アンサンブルでも活躍してきたウィーンの名トランペッターがおくるバロック曲集。2002〜17年の録音をまとめた集大成的内容だが、L.モーツァルトの協奏曲以外は初出である。大きな特徴は、声楽曲や合奏曲とソロ系の曲が交互に収録された構成。独奏楽器のみならず共演楽器としての意味合いを含めた、同時代のトランペットの多様性を示す内容となっている。光輝にして清澄な音色と驚くほどナチュラルな表現による演奏も実に見事。華麗でいながら闇雲に突出しない抜群のセンスが上質の音楽的感興をもたらす好盤だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2020年7月号より)

【information】
CD『ラッパは鳴り響き/ハインリヒ・ブルックナー』

トレッリ:5声のソナタ第1番/テレマン:「ターフェルムジーク 第2巻」/L.モーツァルト:協奏曲ニ長調/ヘンデル:アリア「ラッパは鳴り響き」 他

ハインリヒ・ブルックナー(トランペット)
コルネリア・ホラーク(ソプラノ)
ウィーン交響楽団バロック・アンサンブル 他

収録:2014年6月&2017年9月、ドイツ(ライヴ) 他
カメラータ・トウキョウ
CMCD-28369 ¥2800+税