アーティストメッセージ(9)〜服部百音(ヴァイオリン)

C)Chihoko Ishii

 皆様いかがお過ごしでしょうか。

 私は3月いっぱいのドイツ・ツアーが序盤で中止になり、早々に帰国してから1ヵ月以上、食料の調達以外家におります。ずっと家にいるとどうなるのか不安な時期もありましたが、やってみるとそう辛いものでもなく、私は消毒という趣味も見つけ(笑)、家族と過ごす時間が増えたことで前よりやりとりする時間や全員で協力し合う場面が増えて、些細なことではありますが、嬉しい変化があり、家族の有り難みを感じています。と同時に、制限のある中で何をするのか、戦争の時代を生き抜いた音楽家たちは常に死と隣り合わせの状況だったと考えれば、今は見えない相手と戦争しているようなもので、いつ自分の人生が終わっても悔いなく終われるように今何をすべきなのか。自分と向き合う時間にしています。

 音楽は、命があることが前提としての心の拠りどころであったり、精神的なお手伝いとして役に立つことができます。ですが、音楽だけでは人の命は救えません。医療に直接的に携わることができない私たちは、今は自宅で出来ることをして、自分のためにも人のためにも免疫をつけ、待つことに徹するしかできません。その上で、音楽を通じて微力ながら役に立てることとして音楽にはどんな可能性があるのか考えております。

 外に出られない間、皆様が安全に健康に、また、不安を抱えるよりも前向きに、芸術に対する情熱を失うことなく過ごすことができますよう、また一刻も早く事態が収束し、また音楽を生でお届けできる日が来ることを願っています。