Music Program TOKYO 小曽根 真 & アラン・ギルバート Jazz meets Classic with 東京都交響楽団

NYで共演した名指揮者を相手にコンポーザーピアニストの本領を発揮


ジャズピアニスト小曽根真による“Jazz meets Classic”企画は、2013年から毎年のように開催されてきた。当初は小曽根と仲の良い一流ジャズミュージシャンが東京都交響楽団と共演。クラシックの名曲に挑み、フレッシュな演奏を聴かせてくれるという趣向だったが、前回はオーケストラではなくビッグバンドが出演したりと、よりフレキシブルな新しい展開をみせてくれた。

今年は都響が首席客演指揮者のアラン・ギルバートとともに帰ってくる。曲目は、20年のベートーヴェン・イヤーとしても珍しい「合唱幻想曲」――「第九」の原型となったとも言われ、ラストの数分に突如として独唱陣と合唱が加わって平和と歓喜を歌い上げる作品だ。冒頭から一貫してピアノ独奏が大活躍するため、小曽根がどんな演奏を聴かせてくれるかも楽しみである。

そしてメインプログラムは、03年に山形県国民文化祭で世界初演された小曽根のピアノ協奏曲「もがみ」で、そのタイトルの通り、民謡「最上川舟歌」の旋律が全3楽章にわたって重要な役割を果たす楽曲だ。聴きどころとなる第2楽章は、江戸時代に2度にわたって最上川流域で起きた飢饉がテーマとなっており、泣く泣く口減らしをする他なかった悲惨な歴史を音楽で描いた、涙なしでは聴けない内容となっている。そして最終楽章では歓喜へと至るのは、「合唱幻想曲」と共通。見事なプログラムだといえる。ニューヨーク・フィルでも共演した小曽根とギルバートの信頼関係から生まれるであろう親密な演奏にも期待大だ。
文:小室敬幸
(ぶらあぼ2020年6月号より)

*新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、本公演は出演者と演奏曲目を変更して開催されます。(6/30主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

2020.7/25(土)17:00 東京文化会館
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
https://www.t-bunka.jp
7/26(日)15:00 オリンパスホール八王子
問:八王子市学園都市文化ふれあい財団042-621-3005
http://www.hachiojibunka.or.jp