劇団四季で数々の有名ミュージカルに主演、退団後もミュージカル界で活躍を続ける沼尾みゆきが、作曲家・編曲家・ピアニストの徳永洋明とデュオ・リサイタルを行う。Hakuju Hall名物のリクライニング席を使用したシリーズ「リクライニング・コンサート」の一環で、最大45度シートを倒した状態で二人の丁々発止を楽しむことができる。
沼尾と徳永は東京藝術大学音楽学部時代からの友人。声楽科の沼尾と作曲科の徳永、歌の伴奏が必要なとき、作曲楽曲の歌い手が必要なとき、互いに声を掛けて協力し合う仲だったという。
「周りの学生が無調だったり鍵盤を肘で演奏する箇所があったりといった現代的な曲を作る中、彼は実に調性的でメロディックな曲を作ってきて、これで点数大丈夫かな?なんて思いながら歌ったことも(笑)。でも、結局は彼のその曲が非常に高く評価されて、『聴いていてきれいだなと思う曲ってやっぱりいいな』と感じた思い出があります」
今回のコンサートでも、『ごんぎつね』で知られる児童文学作家・新美南吉の詞に、徳永が曲をつけた「デージイ」が登場。「私のためのオリジナルで、お花についてのとてもかわいく明るい曲なんです」というから楽しみ。クラシックの名曲をメドレーで演奏する「3分で分かる西洋音楽史」、「ハクジュホールに捧げる即興演奏」など、徳永のコーナーも充実の限りだ。
ミュージカル作品からは、沼尾が劇団四季時代に主演を務めた『サウンド・オブ・ミュージック』や『オペラ座の怪人』、そして『キャッツ』や『マイ・フェア・レディ』といった有名作品から、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう曲が続々と登場。クラシック畑からミュージカル界へと羽ばたいた彼女ならではの歌声が堪能できそうだ。
「ミュージカルは、クラシックと違って予備知識や予習がなくても楽しめるところが魅力。その一方で、ソプラノ、テノールといった声域に関係なく作曲されている曲もあったりしますが、私はプロフェッショナルとして、すべての音、かなりの低音でもきっちり出すことを心がけて歌ってきました。ミュージカルの舞台と違い、今回のようにマイクがない状態でのコンサートは、声そのままでの勝負でもあり、プレッシャーと楽しみがあります。徳永さんはしゃべりもとてもうまく、私とのトークも漫才のようだとご好評をいただいていますので(笑)、ぜひリラックスして楽しみにいらしてください」
取材・文:藤本真由
(ぶらあぼ2020年5月号より)
*新型コロナウィルス感染症の感染拡大を考慮し、本公演は中止となりました。(5月1日主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
沼尾みゆき & 徳永洋明 デュオ・リサイタル
2020.5/15(金)15:00 19:30 Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700
https://www.hakujuhall.jp