チェリストとしての歩みを凝縮した節目のステージ
今年、演奏活動20周年を迎えたチェリスト、横坂源がアクトシティ浜松で無伴奏チェロ・リサイタルを開く。2010年ミュンヘン国際音楽コンクール・チェロ部門第2位、齋藤秀雄メモリアル基金賞、出光音楽賞など輝かしい受賞歴を誇る名手が、チェロのさまざまな可能性を切り開いた作品に挑む。
プログラムは多彩だ。チェリストにとっての聖典、バッハの無伴奏チェロ組曲の第2番と第6番の間に、ソッリマの「アローン」と「ラ・テンペスタ」、カサドの無伴奏チェロ組曲、スヴィリドフの新作世界初演、黛敏郎の「文楽」がはさまれるという構成。
“チェロの魔人”ジョヴァンニ・ソッリマは昨年の来日が記憶に新しいところだが、ソッリマの作曲家としての顔に接することができる。往年の名チェリスト、ガスパール・カサドもやはり作曲家として作品を残しており、無伴奏チェロ組曲は代表作のひとつ。スザンネ・ツァーガー・スヴィリドフは横坂が尊敬する南ドイツの作曲家で、この公演のために新作が委嘱された。黛敏郎の「文楽」では、チェロが太棹三味線や義太夫節の響きを再創造する。
実は横坂源は6年前より浜松に在住している。新潟出身の横坂にとって、浜松は晴天の続く常夏の街のように感じられるのだとか。すっかり気に入ったという浜松で迎える節目の年。音楽の街にふさわしく、喜びと刺激にあふれた公演になりそうだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2020年4月号より)
*新型コロナウィルス感染症の感染拡大を考慮し、本公演は中止となりました。(5/7主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
2020.5/30(土)14:00 アクトシティ浜松(中)
問:浜松市文化振興財団053-451-1114
https://www.hcf.or.jp