川口総合文化センター・リリア 開館30周年記念事業から

ベジャールの傑作バレエも登場する内容満載のステージ


 催しに合わせての多彩な可変機能を持つメインホールや、スイス・クーン社製のパイプオルガンを備え、豊潤な音響を誇る音楽ホールを擁し、川口市のみならず、埼玉県の芸術文化の向上にも貢献してきた川口総合文化センター・リリア。今年7月でグランド・オープンから30周年を迎えるにあたり、アニヴァーサリーを祝う多彩な記念のステージが用意されている。

 メインホールで開かれる「埼玉ゆかりの名歌手たちによるバースデイ・ガラ・コンサート」には、ソプラノの小川里美、メゾソプラノの林美智子をはじめ、国際的なオペラの檜舞台で活躍する、埼玉県出身・在住の第一線のソリスト12人が集結。現田茂夫指揮の東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団をバックに、ヴェルディ《椿姫》《リゴレット》やプッチーニ《トスカ》などイタリア・オペラはもちろん、モーツァルトやビゼー、グノー、ドヴォルザークまで、各々が最も得意とする、そして傑作のエッセンスとも言うべき名アリアを歌い尽くす(7/4)。

 先鋭的な振付を通じて、伝統にとらわれることなく、現代に生きる芸術としてバレエを“再創造”した、フランスの巨匠モーリス・ベジャール。彼が2007年に世を去った後も、その息吹を鮮烈に伝え続けるモーリス・ベジャール・バレエ団が『バレエ・フォー・ライフ』(1997年初演)を披露。〈ボヘミアン・ラプソディ〉など、伝説的ロック・バンド「クイーン」の17の名曲やモーツァルトの調べに乗せて、圧倒的な興奮と愉悦をもたらす衝撃作だ(5/31)。

 そして、ステージには必ず、聴き手が楽しめる“仕掛け”を忍ばせるマエストロ、広上淳一が、読売日本交響楽団を率いて登場。音による極彩色の絵画のような、リムスキー=コルサコフの交響組曲「シェエラザード」を軸に。我が国を代表する名手、小山実稚恵の独奏でラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」、さらにグリンカの歌劇《ルスランとリュドミラ》序曲と、濃密なロマンを湛えたロシア・プログラムを聴かせる(9/29)。

 一方、音楽ホールには、ハンガリー出身の作曲とオルガンの巨匠、ジグモンド・サットマリーが降臨。いずれも世界的奏者として活躍する愛弟子の松居直美、今井奈緒子、井上圭子とともに、クーンの銘器を用い、バッハや自作を含めた佳品をガラ・コンサートとして披露する(5/26)。そして、フルートのエマニュエル・パユをはじめ、6人のスーパースターで構成される「レ・ヴァン・フランセ」も登場。プーランク「六重奏曲」や生誕250年のベートーヴェンの作品ほか選りすぐりの傑作と、変幻自在のプレイで魅せる(7/3)。
取材・文:笹田和人
(ぶらあぼ2020年4月号より)

*新型コロナウィルス感染症の感染拡大を考慮し、一部公演に開催の中止が発表されております。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

問:リリア・チケットセンター048-254-9900 
https://www.lilia.or.jp
※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。