【CD】CANTARES/高野百合絵

 若手の登竜門レーベルOpus One第2期生。2018年、東京音楽大学在学中に日生劇場《コジ・ファン・トゥッテ》のドラベッラ役をオーディションで射止めたメゾソプラノの逸材によるデビュー盤。ありきたりのオペラ・アリア集ではなく、大輪の百合の花のように艶やかな《カルメン》で幕を開けつつ、オブラドルス、ファリャ、トゥリーナ、モンサルバーチェと、それぞれに地域色豊かで時代も様々なスペイン歌曲(本人がこよなく愛する)を中心とした選曲が圧巻。最後を飾る、同じ富山県出身の澤武紀行が大伴家持の和歌に作曲した〈磯の上のつままを見れば〉も印象的。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2020年4月号より)

【information】
CD『CANTARES/高野百合絵』

ビゼー:歌劇《カルメン》より〈ハバネラ〉/オブラドルス:「スペイン古典歌曲集」より〈エル・ビト〉/ファリャ:「7つのスペイン民謡」より〈アストゥリアーナ〉/トゥリーナ:「歌のかたちをした詩」より〈カンターレス〉/モンサルバーチェ:「5つの黒い歌」より〈黒い歌〉/澤武紀行:磯の上のつままを見れば 他

高野百合絵(メゾソプラノ)
吉本悟子(ピアノ)

日本コロムビア
COCQ-85480 ¥2000+税