【SACD】ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」/久石譲&東響

 “ロックのような”ベートーヴェンの交響曲全集が好評を博している久石譲の東響との初録音。これもあらゆるフレーズが生命力を放ちながら躍動する快演だ。まずは既成概念に囚われずに構築された音のバランスが実に新鮮。ベートーヴェン同様にリズムの明確さも耳を奪い、中でも遅い場面における各リズムの明示が清新な感触をもたらしている。全体に速めのテンポでキビキビと運ばれ、特に快速部分はスピード感抜群だが、その中に流れるフレーズのしなやかさも見逃せない。東響もこまやかな好演。音楽的感興と生理的快感を併せ持つ新たな「春の祭典」の登場だ。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2020年4月号より)

【information】
SACD『ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」/久石譲&東響』

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」

久石譲(指揮)
東京交響楽団

収録:2019年6月、サントリーホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00719 ¥3000+税