【CD】J.S.バッハ:パルティータ(全6曲)/野平一郎

 これまで、奏者としてだけでなく楽譜校訂者としてもJ.S.バッハの作品に向き合ってきた、ピアニスト、作曲家の野平一郎が、バッハにとって組曲創作の総決算だったと考えるパルティータ全曲を一夜で演奏した際のライヴ録音。一音ずつ大切に刻むように音が鳴らされ、“うまみ”が染み出すようなハーモニーが響く。野平自身ライナーで「作曲家の脂の乗り切った筆の運び」を感じると記しているが、細部まで神経の行き届いた音の連なりが、自然なうねり、流れとなって大スケールで広がる。多彩な感触の音が重なりあう第6番まで聴き終えると、充実した気持ちで満たされる。
文:高坂はる香
(ぶらあぼ2020年4月号より)

【information】
CD『J.S.バッハ:パルティータ(全6曲)/野平一郎』

J.S.バッハ:パルティータ第1番〜第6番

野平一郎(ピアノ)

収録:2019年9月、浜離宮朝日ホール(ライヴ)
ナミ・レコード
WWCC7917-8(2枚組) ¥3500+税

  • La Valseの最新記事もチェック

    • エリーナ・ガランチャ(メゾソプラノ)| いま聴いておきたい歌手たち 第14回 
      on 2020/03/25 at 06:59

      text:香原斗志(オペラ評論家) ハングリー精神とテクニック 忘れている人、あるいは知らない人も多いのではないだろうか。2003年11月、新国立劇場で上演されたオッフェンバック《ホフマン物語》にエリーナ・ガランチャは出演し、ニクラウス/ミューズを歌っていた。もちろん、低域から広域までのなめらかな声と豊かな感情表出で強い印象を残したけれど、まだ圧倒的な歌唱とまでは言えなかった。 03年は、ガランチ [&#8230 […]