ピエタリ・インキネン(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団

世界が注目するインキネンが放つ現代のベートーヴェンとブルックナー


 日本フィルでは2009年から首席客演指揮者、16年からは首席指揮者を務め、長きにわたり蜜月関係を築くピエタリ・インキネン。昨年には日本フィルにとって13年ぶりとなるヨーロッパ・ツアーを成功させた立役者でもある。この20年夏にはバイロイト音楽祭で《ニーベルングの指環》4部作を指揮することになっており、世界中から注目を集める存在であることは間違いない。彼が日本フィルと19年10月から取り組みはじめたのが、2シーズンにわたる「ベートーヴェン・ツィクルス」だ。生誕250年のアニヴァーサリーイヤーとはいえ、他のオーケストラはツィクルスをするとしても交響曲に限定したり、あるいは様々な指揮者によって振り分けたりするところを、なんと日本フィルはインキネンひとりで交響曲だけではなく協奏曲なども取り上げるという意欲をみせる。

 シリーズ第3弾は、40代半ばを迎えたロシアの名ピアニスト、アレクサンドル・メルニコフをソリストに招いてのピアノ協奏曲第2番。イザベル・ファウストなど、世界トップクラスのアーティストと共演を重ねるメルニコフが、ベートーヴェン初期の佳曲をどう聴かせるか楽しみだ。そして後半は人気作、ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」。これまで日本フィルと演奏した第5番以降の交響曲で、ゆったりとしたテンポで豊穣な響きを堪能させてくれる古き良き趣のブルックナーを披露。多くのファンから熱烈な支持を受けているだけに、今回も期待して良いだろう。
文:小室敬幸
(ぶらあぼ2020年3月号より)

*指揮者ピエタリ・インキネンと、ピアニストのアレクサンドル・メルニコフは、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響に伴い、入国制限強化と発行済み査証(ビザ)の無効化処置により、来日できなくなりました。本公演は、指揮者・ソリストを変更しての開催に向け、引き続き状況を注視しながら調整を進めています。(3/24主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

第719回 東京定期演奏会 
2020.4/17(金)19:00、4/18(土)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
https://www.japanphil.or.jp