イェルク・ヴィトマン(クラリネット) with クァルテット・エクセルシオ

第一線の作曲家兼スーパー・クラリネット奏者が日本の俊英たちと競演


 あらゆる楽器に精通し、オペラから室内楽まで、質・量ともに驚異のペースで創作活動を続ける現代作曲界のスーパースター、イェルク・ヴィトマンは、また優れたクラリネット奏者として、この楽器のために書かれた作品に名演を残してきた。
 3回目となるトッパンホールでの演奏会は、全方位に発揮される輝かしい才能のありかを改めて明らかにする。「日本の優れたクァルテットと共演したい」という本人の要望を受け白羽の矢が立ったのは、充実期を迎えつつあるクァルテット・エクセルシオ。そこに二人の若き俊英(ヴィオラ:石田紗樹、チェロ:佐山裕樹)が加わり、前半はソロから六重奏までヴィトマン作品4曲が並ぶ。

 代表作というべき弦楽四重奏曲集から、激しい躍動感によってとりわけ人気が高い第3番「狩」をメインに、終始撃ち込まれるパルス上でスリリングな掛け合いを繰り広げる弦楽六重奏曲「1分間に180拍」。しじまに流れる水底の歌から野性味あふれる踊りまでをあらゆる技巧を駆使して描き出す「3つの影の踊り」(自作自演)。声とヴァイオリンの古風な掛け合いが不協和音程の軋みへと変貌する「ヴァイオリン独奏のためのエチュード第2番」。名手たちの演奏を通じアイディアを鮮やかに音化する手さばきが楽しめるだろう。

 後半はエクセルシオとの競演で、数多のクラリネットの名作を残したロマン派の大家ウェーバーの「クラリネット五重奏曲」。ヴィトマンの創作にはウルトラ・モダンな外観の陰に、伝統がしっかりと息づいている。歴史に向けられたヴィトマンの眼差しを、本作を通じて確認したい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2020年2月号より)

2020.3/9(月)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 
http://www.toppanhall.com

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