セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団

就任1年目の総決算にふさわしいヒーロー・プログラム


 2019年4月より読響の第10代常任指揮者に就任したセバスティアン・ヴァイグレ。記念すべきシーズンの掉尾を飾る3月の公演で、ヴァイグレはリヒャルト・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」を取り上げる。シュトラウスはワーグナーと並ぶヴァイグレ得意のレパートリー。精緻極まりないオーケストレーションで描かれる壮麗なスペクタクルを、ヴァイグレがどう料理するのか、注目が集まる。オーケストラの機能性を最大限に求める作品だけに、ヴァイグレと読響コンビの第1シーズンの総決算にふさわしいプログラムといえるだろう。

 そして、交響詩「英雄の生涯」に組み合わされるのが、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」。独奏を務めるのはたびたびの来日で日本の聴衆にもなじみ深いルーカス・ゲニューシャスだ。祖母に名教師ヴェーラ・ゴルノスターエワを持つ音楽一家の出身で、2010年のショパン国際コンクール第2位、15年のチャイコフスキー国際コンクール第2位など、輝かしいコンクール歴を誇る。すぐれたテクニシャンであり、古典から現代作品まできわめて幅広いレパートリーに挑む才人だ。
 ベートーヴェンの「皇帝」とシュトラウスの交響詩「英雄の生涯」。ともに壮大雄渾な曲想を持つヒーロー・プログラムを堪能したい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2020年2月号より)


*新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、本公演は中止となりました。(2/27主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

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第225回 土曜マチネーシリーズ 
2020.3/14(土)
第225回 日曜マチネーシリーズ 
2020.3/15(日)
各日14:00 東京芸術劇場コンサートホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp