もしあなたがオーケストラは聴きに行くけれどオペラには関心がないのなら、音楽の愉しみの半分しか知らないことになる。そんな人にこそ聴いてほしい。ヴェルディを中心にイタリア・オペラから選りすぐった楽しくゴージャスな管弦楽曲が満載だ。伸び伸びと歌う旋律、絶妙のテンポ。身体にダイレクトに訴えかけてきて聴いているうちにむずむずと踊りだしたくなる。それもそのはず、新日本フィルではドイツものを中心に取り組んでいる上岡敏之だが、ドイツでは歌劇場を長年率いてきた名オペラ指揮者でもあるのだ。劇場生活で培ったアイディアを惜しみなく投入した音楽が愉しくないわけがない。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2020年2月号より)
【information】
SACD『オペラ・イタリアーナ/上岡敏之&新日本フィル』
ヴェルディ:歌劇《シチリア島の夕べの祈り》第3幕 バレエ音楽「四季」より/ケルビーニ:歌劇《メデア》序曲/ロッシーニ:歌劇《泥棒かささぎ》序曲/プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》間奏曲/エネスク:ルーマニア狂詩曲第1番 他
上岡敏之(指揮)
新日本フィルハーモニー交響楽団
収録:2019年1月、すみだトリフォニーホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00677 ¥3200+税