下野竜也(指揮) 読売日本交響楽団

人気の上野耕平も登場、意欲的な選曲で攻める!


 刺激的なプログラムが続く読響定期演奏会。2020年1月は、17年3月まで読響の首席客演指揮者を務め、現在広島交響楽団音楽総監督の下野竜也が、約3年ぶりに日本初演2作品を含むこだわりの選曲で登場する。

 ショスタコーヴィチ「エレジー」で始まり、現代アメリカを代表する作曲家ジョン・アダムズ「サクソフォン協奏曲」(2013)では、人気上昇中の若手、上野耕平をソリストに迎える。アダムズと言えば、15年に代表作「ハルモニーレーレ」を下野が日本初演以来29年ぶりに読響で取り上げて話題を集めた。今回の「サクソフォン協奏曲」は、子どもの頃からジャズの巨匠たちのレコードを聴いてきたアダムズがそれらを手本に作曲。チャーリー・パーカーのメロディやスタン・ゲッツへのオマージュなど、ジャズの要素満載である。サクソフォンが華やかに駆け巡り、即興風の楽想や超絶技巧が炸裂するこの作品。明晰な音と類まれな技巧、豊かな音楽性で、国内のみならず国際的にも高く評価される上野の、縦横無尽な演奏も大注目だ。

 後半の、アメリカのフェルドマン「On Time and the Instrumental Factor」(1969)とロシアの女性作曲家グバイドゥーリナ「ペスト流行時の酒宴」(2005)はともに日本初演。フェルドマンでは静的な音響が揺れ動き、06年にラトルがフィラデルフィア管と世界初演したグバイドゥーリナの作品は、堅牢な響きの迫力に圧倒されるが、そこに浮かぶ旋律は美しい。パワフルな読響と下野の情熱の指揮。新しい音楽との出会いには最高の組み合わせである。
文:柴辻純子
(ぶらあぼ2019年12月号より)

第594回 定期演奏会 
2020.1/15(水)19:00 サントリーホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390
https://yomikyo.or.jp/