アニバーサリーにふさわしく世界的作曲家2人の注目作を
日本を代表する作曲家二人がタッグを組んで行われるサントリーホール主催の「作曲家の個展Ⅱ」。サントリー芸術財団50周年記念の節目となる2019年の「個展Ⅱ」は、ともにヨーロッパで高く評価されている細川俊夫と望月京による二人展で、オーケストラ作品4曲が取り上げられる。幅広い作品を手掛けてきた両者だが、管弦楽の魅力を存分に堪能できる新作を次々と世に送り出しており、第一級のオーケストラ作曲家という点で共通している。
これまでの「個展Ⅱ」では作曲家同士がプログラムに種々の仕掛けをしており、そのあたりも聴きどころだったが、今回は各自が注目のソリストを招聘するという試みだ。両者の作品世界にも通暁した世界的奏者が、妙技を披露するという贅沢な一夜が実現した。細川作品では、古典から現代まで手掛けているオルガニストのクリスチャン・シュミットが登場し、緻密な響きに彩られた「抱擁—光と影—」(2016〜17)でソロをつとめる。一方の望月作品には、欧米で活躍し現代作曲家たちからの信任も厚い、打楽器奏者イサオ・ナカムラが出演する。サントリーホール委嘱新作「オルド・アプ・カオ」の世界初演では、高度な技術に裏打ちされたソロを聴かせてくれることだろう。他に細川作品として、サントリーホール委嘱世界初演となる「渦」、望月作品として、2010年の「むすび」がそれぞれ演奏される。オーケストラは現代作品の第一人者、杉山洋一指揮の東京都交響楽団。
現代創作界は今後どこに向かうのか。そんな問いをも照射する話題の公演となろう。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2019年11月号より)
2019.11/28(木)19:00 サントリーホール
※18:20よりプレコンサート・トークあり
問:サントリーホールチケットセンター0570-55-0017
https://suntory.jp/HALL/