角田鋼亮(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

「絵画」をキーワードとする入念のロシア・プロ


 豊かな音響とともに、舞台の出演者との一体感も味わえる、ティアラこうとう大ホール。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団はこの会場で「ティアラこうとう定期演奏会」を開催、お手頃な価格で名作を楽しめる好シリーズとして親しまれている。

 11月末には、今年からセントラル愛知交響楽団の常任指揮者を務めるなど、いま最も上り調子な指揮者のひとり、角田鋼亮が登場。ムソルグスキー(ラヴェル編曲)の組曲「展覧会の絵」をメインに、マスネの組曲第4番「絵のような風景」とプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番を組み合わせた、気の利いたプログラムを聴かせてくれる。「絵」をキーワードとする組曲2作を大枠にするアイディアはなかなか粋。マスネの組曲は、最初は穏やかな淡色で始まりながら、最後の第4曲は作曲者一流のカラフルで華麗なオーケストレーションが発揮される楽しい佳品で、会場が盛り上がること間違いない。もちろん、華麗さにかけては随一の名曲「展覧会の絵」では、角田の好調ぶりがよくわかるような鮮やかな快演が大いに期待できる。

 この2曲の間で強めのスパイスとなるのがプロコフィエフ。ソリストは辻彩奈。高い技巧はもちろんのこと、すでに独自の表現を勝ち得ている俊才で、世界を舞台に活躍する若き名手だ。不思議な神秘性と超絶技巧に満ちた協奏曲で、彼女の世界基準のパフォーマンスを堪能したい。秋の終わりに、充実のオーケストラと気鋭のアーティストたちによる名曲集を味わう週末を。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年11月号より)

第59回 ティアラこうとう定期演奏会
2019.11/30(土)15:00 ティアラこうとう
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
https://www.cityphil.jp/

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