ラ・クァルティーナ(チェロ四重奏)

N響の腕利きチェリスト4人が醸し出す美しきハーモニー


 チェロ4台というアンサンブルの可能性は、個性的かつ卓越した音楽性と技術をもつ奏者が集まった場合、計り知れないものになる。それを証明しているのがNHK交響楽団に所属する奏者たちによって結成され、15年以上もの間、さまざまなレパートリーを開拓してきた「ラ・クァルティーナ」だ。メンバーは、藤森亮一、藤村俊介、銅銀久弥、桑田歩。豊かさと力強さを兼ね備えたサウンド、多彩な表情によって浮かび上がる歌心、絶妙な編曲による名曲の数々は、チェロ四重奏というスタイルを定着させたのと同時に、アマチュア・チェロ奏者にとっても素晴らしい手本かつ目標となってきた。

 その「ラ・クァルティーナ」が2年ぶりに文京シビックホール小ホールで開催するコンサートも、なかなか意欲的な選曲である。中でもこのコンサートが初演となるチャイコフスキーの「くるみ割り人形」(抜粋・新編曲版)は、次々に変化するリズムや雰囲気を描ききって名演を聴かせてくれるはず。同じ作曲家の「アンダンテ・カンタービレ」やピアノ曲「四季」からの抜粋は、優美なチェロの音に心ゆくまで浸れるだろう。さらにはシューマンのチェロ協奏曲を四重奏で聴かせたり、チェロ・アンサンブルの世界ではなじみ深いユリウス・クレンゲルの作品、そしてバッハの無伴奏チェロ組曲第3番からも。メンバー全員が充実した音楽を奏でる演奏家だけに、心が豊かになるひとときになるはずだ。秋の夜に、チェロの音はよく似合う。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2019年10月号より)

2019.10/25(金)19:00 文京シビックホール(小)
問:シビックチケット03-5803-1111 
https://www.b-academy.jp/hall/