Music Program TOKYO プラチナ・シリーズ4 鈴木大介(ギター)

渡辺香津美をゲストに迎え、邦人作曲家のギター作品による魅惑のステージ


 48歳となった現在でもなお新しい学びに取り組み、自身ならびにギターの可能性を拡大し続けている鈴木大介こそ、真のフロントランナーと称されるべきであろう。自分の興味を深堀りしつつ、同時にギター界を見渡した上で何をすべきかを考えて行動し、ちゃんと実現まで漕ぎ着けられる貴重な存在なのだ。特に重要なのが邦人作曲家たちとの交流。キャリア初期に後押ししてくれた武満徹のギター曲をはじめ、数々の邦人作品の初録音もしくは初演に携わってきた。そうした初録音・初演作品だけを集めたのが、このリサイタルである。

 武満の実質的な遺作「森のなかで」、ギターの限界に挑むような超絶技巧を駆使する酒井健治作品、アウシュヴィッツ訪問の心象風景を描いた池辺晋一郎作品、ブラジル音楽から影響を受けた美しいハーモニーが心に残る伊左治直作品…と、鈴木が世界初演にかかわった作品のなかから、世代も個性も異なる作曲家による楽曲が選抜された。そして、ここに西村朗と渡辺香津美による新作初演が加わるというのだからテンコモリだ。また渡辺はゲストとしてギター演奏も行い、華麗なアドリブを堪能できる猿谷紀郎作品や、武満による映画音楽を鈴木とのデュオで披露。現代音楽の作曲家ばかりだが、今回演奏される作品はどれも分かりやすく、心に響く音楽ばかりなのでご安心を。日本発のギター音楽を振り返り、未来へと繋がっていくこの特別な公演を見逃すな!
文:小室敬幸
(ぶらあぼ2019年10月号より)

2019.12/18(水)19:00 東京文化会館(小)
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
https://www.t-bunka.jp/