東京フィルハーモニー交響楽団 第15回 平日の午後のコンサート 〈ザ・コバケンⅠ〉

平日の昼、熱き名演に触れる悦び

小林研一郎 C)上野隆文

 近年のコンサートシーンにおける顕著な変化として挙げられるのが、平日の午後(日中)に行われる演奏会の増加だろう。その時間でこそ聴きに出かけたいというニーズに応えるべく、平日午後の定期的なシリーズを創設する楽団も現れた。その代表例のひとつが、東京フィルハーモニー交響楽団の「平日の午後のコンサート」である。

 同楽団の「午後のコンサート」は平日・休日の2シリーズがあり、「平日」は今年度で4年目とまだ新しいが、東京オペラシティ コンサートホールの美しい空間で、とっておきの名曲の数々を指揮者のお話とともに楽しめる、人気のコンサートとなっている。指揮者ごとのキャラクターが反映されて、毎回違う雰囲気で楽しめるのも魅力だ。

 10月8日の同シリーズには、小林研一郎が登場。公演タイトルはなんと「ザ・コバケン」。愛称に「ザ」が付くだけでそれ以上の説明不要という、小林の別格の存在感が何より伝わるタイトルで、期待がいや増す。プログラムは「ドナウ川のさざ波」「マドンナの宝石」間奏曲の2曲で開始。いずれも名旋律で知られながら意外と実演では聴く機会が多くなく、トークでどんなエピソードが語られるのかも興味を引く。続いてウェーバー《魔弾の射手》序曲で迫力の演奏を聴かせた後、メイン曲は“コバケンの十八番”ドヴォルザークの交響曲第8番。名曲の熱演をたっぷりと味わえるほか、本作にまつわるマエストロの思いを聴けるのも貴重。演奏とともに、穏やかで温かみのある語り口にも魅了されるに違いない。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年10月号より)

2019.10/8(火)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京フィルチケットサービス03-5353-9522 
https://www.tpo.or.jp/

  • La Valseの最新記事もチェック

    • パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)ロング・インタビュー Part1
      on 2019/11/11 at 09:29

      interview & text :小室敬幸 photos:野口 博 日本のオーケストラのシェフに海外の著名指揮者が就任することが珍しくなくなって久しいが、近年は欧米でキャリアを築き上げつつある30〜50代の指揮者が目立つようになった。これはメジャーリーガーの大スターがキャリアの終わりに日本のプロ野球へとやってくるがごとく、功成り名を遂げた老指揮者が日本のオケのポストを受ける図式とは根本的に異なる [&#8230 […]