【CD】ヘンデル:歌劇《シッラ》/ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテ

 知られざるバロック・オペラに光を当てる、ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテのヘンデル・プロジェクト。第2弾は、ロンドン時代の第4作《シッラ》(1713年)を取り上げた。自らの欲望のためには人の心をも踏みにじる、古代ローマの背徳の暴君が題材だけに、作品の価値に疑問を呈する研究者も。しかし、実際にはヘンデルらしい音楽的な魅力に溢れ、とりわけアリアは名旋律の宝庫だ。当録音では、器楽・声楽とも骨太かつ端正な快演で、その美点を余さず表現。シッラに対抗する“愛と良心の化身”とも言うべき、騎士クラウディオ役のマルティナ・ベッリの名唱が、特に光る。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2019年10月号より)

【information】
CD『ヘンデル:歌劇《シッラ》/ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテ』

ヘンデル:歌劇《シッラ》

ファビオ・ビオンディ(ヴァイオリン/指揮)
ソニア・プリナ(コントラルト)
マルティナ・ベッリ ヴィヴィカ・ジュノー(以上メゾソプラノ)
スンヘ・イム ロベルタ・インヴェルニッツィ(以上ソプラノ)
ルカ・ティトット(バス)
エウローパ・ガランテ 他

GLOSSA/東京エムプラス
OGCD923408(2枚組) ¥4000+税