シエナ・ウインド・オーケストラのユーフォニアム奏者の初のソロ・アルバム。オリジナル曲、それに準ずるサクソルン・バス等の作品から、古典派のコントラバス協奏曲や内外の歌の編曲まで、多彩な内容で吹奏楽の花形楽器の魅力を堪能させる。全体に共通するのは、同楽器の大きな美点である“まろやかな音色による「歌」”。過剰なアピールを伴わない自然な歌いまわしが、一般に知られていない作品にも説得力をもたらしている。中でもスパークの「ソング・フォー・イナ」の優しさが印象的。最後に置かれた名歌2曲も、的確なピアノと相まって聴く者を酔わせる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年9月号より)
【information】
CD『ユーフォニアムとピアノのためのファンタジー/庄司恵子』
保科洋:ユーフォニアムとピアノのためのファンタジー/R.デュハースト:パナシェ/G.リチャーズ:ミッドナイト・ユーフォニアム/P.スパーク:ソング・フォー・イナ/J.セムラー=コルリー:舟歌と酒歌/ドヴォルザーク:わが母の教えたまいし歌/いずみたく:見上げてごらん夜の星を 他
庄司恵子(ユーフォニアム)
中村純子(ピアノ)
マイスター・ミュージック
MM-4062 ¥3000+税