ユベール・スダーン(指揮) 東京交響楽団

スダーン美学の集大成

 2004年9月に東京交響楽団の音楽監督に就任したユベール・スダーンが、音楽監督としての最後のシーズンを迎えている。東京交響楽団から豊潤でしなやかなサウンドを引き出し、楽団を一段と成熟させた10年間にわたる功績は、改めて讃えるまでもない。
 もとより「オーケストラとどんなにすばらしい関係が続いていたとしても、10年経ったら音楽監督を勇退する」と語っていたスダーン。そのバトンは次期音楽監督ジョナサン・ノットに引き継がれることになった。ラスト・シーズンにはこれまでのスダーン時代の集大成ともいえるようなプログラムが組まれることになった。
 11月3日の名曲全集(ミューザ川崎)と、4日の定期演奏会(サントリーホール)でスダーンが取りあげるのはシベリウスのヴァイオリン協奏曲とブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」。シベリウスでは1989年生まれのレイ・チェンが独奏を務める。2009年エリザベート王妃国際コンクールで、最年少出場者でありながら優勝を果たした新星だ。スダーンによれば「いま若い世代でもっともすぐれたヴァイオリニストの一人」。
 スダーンと東京交響楽団はこれまでにたびたびブルックナーの名演を聴かせてくれている。「ロマンティック」はスダーンにとってザルツブルクでも成功を収めた思い入れのある作品。このコンビの最良の成果を期待できるだろう。

文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2013年10月号から)

第91回 名曲全集 ★11月3日(日)・ミューザ川崎シンフォニーホール ローチケLコード31459
第615回 定期演奏会 ★11月4日(月・休)・サントリーホール
問TOKYO SYMPHONYチケットセンター044-520-1511 http://tso.jp

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