上岡敏之(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

マエストロからのプレゼントはフランス音楽の花束


 お客様にもっとコンサートに参加してもらいたい。そんなオーケストラの姿勢が打ち出されているのが、新日本フィルのシーズン最後を飾る「リクエスト・コンサート」。上岡敏之音楽監督肝入りのこの企画は、今回で3回目。これまでに「パガニーニとベルリオーズ」(2017年)、「ラフマニノフとチャイコフスキー」(18年)といったテーマで開催されてきたが、今回はフランス音楽の名曲が集められた。

 プログラムは全4曲からなる。若き日のビゼーのみずみずしい感性が息づく交響曲ハ長調、神童ピアニストとして名を馳せたサン=サーンスのピアノ協奏曲第2番、ラヴェルがメルヘンの世界を描く「マ・メール・ロワ」組曲、そして古代ギリシャの少年少女の恋物語を題材にした「ダフニスとクロエ」第2組曲。リクエストに応えた選曲であると同時に、19世紀後半から20世紀前半にかけてのフランス音楽の潮流をたどった統一感のあるプログラムになっている。ドイツ音楽を得意とするイメージの強い上岡だが、どんなフランス音楽を披露してくれるのだろうか。

 サン=サーンスのピアノ協奏曲第2番でソロを務めるのは、ジョージア生まれの俊英、マリアム・バタシヴィリ。フランツ・リスト国際コンクールで優勝し、BBC New Generation Artistsに選ばれるなど、勢いのあるピアニストだ。フレッシュなサン=サーンスを期待。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2019年7月号より)

第608回 定期演奏会 トパーズ〈トリフォニー・シリーズ〉
2019.7/19(金)19:00、7/20(土)14:00 すみだトリフォニーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp/