究極のピアノ作曲家二人の魅力に迫る
1989年、日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれた金子三勇士は6歳で単身ハンガリーに渡り、リストやバルトークの作品を中心に幅広いピアノ作品を学んだ。2006年に帰国後は東京音楽大学で研鑽を積み、08年にバルトーク国際ピアノコンクールで優勝の栄冠に輝く。以来、国内外で幅広い活動を続け、特にリストをレパートリーの中心に据え、さまざまな作品をコンサートで取り上げてきた。
そんな金子が「ショパン vs リスト」と題するリサイタルを行い、同時代に活躍していた2大作曲家のピアノ・ソナタをメインに据えた興味深いプログラムを披露する。
今年は日本・ハンガリー外交関係樹立150周年、日本・ポーランド国交樹立100周年にあたるメモリアルイヤー。記念の年に金子がリストとショパンを取り上げるのは非常に意義深い。とりわけ彼がレパートリーの根幹に据え、録音も行っているリストの「ソナタ ロ短調」は、まさにハンガリーの血を引く彼が全身全霊を傾けている作品。そしてショパンのソナタ第2番も、じっくり取り組んできた得意とする曲だ。この2曲が後半に置かれ、前半はショパンとリストの人気の高い作品が次々と登場する。
今回は「文化芸術ナビゲートにおけるスペシャリスト」浦久俊彦が案内役を務める。ショパンとリストの対比を浮き彫りにする選曲が、ナビゲーターによってどのように解説され、愉しみが増すのか、興味は尽きない。
文:伊熊よし子
(ぶらあぼ2019年7月号より)
アフタヌーン・コンサート・シリーズ 2019-2020 前期 Vol.3 ショパン vs リスト
金子三勇士 ピアノ・リサイタル
2019.7/18(木)13:30 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp/