マリア・バーヨ(ソプラノ)

スペインのディーヴァが待望のソロ・リサイタル

C)David Ruano

 「人生を深く知るがゆえの笑顔」──スペインの名ソプラノ、マリア・バーヨの明るい声音を聴くたびに、そう思わずにはいられない。質感が軽やかなのに客席の隅々まで響き渡る彼女の歌声は、爽やかさに満ちる一方で仄かな哀感も帯びるもの。夕陽を見つめる人の背中のように、“言葉にできない想い”をそれは雄弁に届けてくれるのだ。

 そのバーヨが、来る6月、11年ぶりに来日する。今回は僅か2回のリサイタルを250席の小空間で開くのみとのこと。初日はサルスエラ(スペイン語のセリフ入りオペラ)とスペイン歌曲の名旋律を歌い上げ、二日目にはヘンデルとモーツァルトの名曲を披露する。どちらも驚くほどに贅沢な夕べになるだろう。共演はフリオ・アレクシス・ムニョス(ピアノ)。

 バーヨ持ち前の庶民性はサルスエラの軽快なメロディにうってつけだが、オペラ界が誇るプリマドンナとして舞台に立つ彼女の毅然としたなりは、バロックや古典派の凛とした曲調に相応しい。透明感を有する格別の美声をどうぞお楽しみに。
文:岸 純信(オペラ研究家)
(ぶらあぼ2019年5月号より)

2019.6/10(月)、6/17(月)各日19:00
すみだトリフォニーホール(小)
問:MCSヤング・アーティスツ03-3473-2880 
https://mcsya.org/

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