【SACD】ハイドン:交響曲集 Vol.6/飯森範親&日本センチュリー響

 モダン楽器を使いながら、歴史的情報に基づき(HIP)、ノンヴィブラート主体の響きで精緻に造形されて、とても好感が持てる。基本的に反復記号は全て敷衍し、反復の度に少しずつ装飾などを加える。飯森は練習前にそれらを全て楽譜に細かく書き込んで団員に渡しておくという。第39番は疾風怒濤期の短調シンフォニーで、冒頭から爽やかな疾走感が聴き手の心を捉える。緩徐楽章の反復では思い切りパウゼを取る。第61番ではフルートとティンパニが加わり、表現の幅が一段と広がる。「狩り」は、円熟期に近づいた作品で、強弱・音色対比や凝った展開が聴きもの。
文:横原千史
(ぶらあぼ2019年4月号より)

【Information】
SACD『ハイドン:交響曲集 Vol.6/飯森範親&日本センチュリー響』

ハイドン:交響曲第39番・第61番・第73番「狩り」

飯森範親(指揮)
日本センチュリー交響楽団

収録:2018年10月、いずみホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00687 ¥3200+税