日生劇場《後宮からの逃走》(2016年)のブロンデ役で絶賛されて以来、活躍の幅を広げているコロラトゥーラ・ソプラノのデビュー盤。幕開けから難曲〈鐘の歌〉の高音を華やかに鳴り響かせたかと思うと〈ヴィラネル〉ではツバメになって大空を軽やかに駆け巡り、R.シュトラウス〈アモール〉の小悪魔的な愛の神に扮した後、トマの描くオフィーリアの狂気を演じ、ロイド=ウェバー〈ピエ・イエズ〉と天上の世界に昇っていく…まさに宝石のような輝かしい歌声を持つ名女優。なかにしあかね作曲、星野富弘の詩による〈今日もひとつ〉が紡ぐ温かい世界も素敵だ。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2019年4月号より)
【Information】
CD『Bell Song〜鐘の歌/鈴木玲奈』
ドリーブ:歌劇《ラクメ》〜若いインド娘はどこへ(鐘の歌)/デラックァ:ヴィラネル/R.シュトラウス:アモール/トマ:歌劇《ハムレット》〜私も遊びの仲間に入れてください/ロイド=ウェバー:ピエ・イエズ/なかにしあかね:今日もひとつ
鈴木玲奈(ソプラノ)
篠宮久徳(ピアノ)
日本コロムビア
COCQ-85449 ¥2000+税