東京オペラシティ B→C 茨木智博(オカリナ)

楽器のイメージを覆す表現力と超絶技巧

©Akita Daisuke/Universal Music

 オカリナをアマチュアの趣味やヒーリング音楽で吹かれる楽器だと思っている人ほど、この演奏会に衝撃を受けることになるだろう。20年以上の歴史をもつ「B→C」シリーズにオカリナ奏者が初登場。茨木智博の演奏を聴けば、誰もがその表現力と可能性に驚かざるを得ないはず。なんてったってモーツァルトのオーボエ協奏曲を全楽章、何の違和感なく吹ききってしまう腕前なのだから。清廉な響きはリコーダーにも近いが、音色も豊かで、いくつかのオカリナを組み合わせたような複数管オカリナの場合、音域はフルートに匹敵する。

 今回のリサイタルでも、バッハの管弦楽組曲第2番やジョリヴェの協奏曲、更には武満徹の遺作「エア」まで、フルートのために書かれた多様な音楽が披露される。もちろん、オカリナのオリジナル作品も充実。テレビや映画の音楽でお馴染みの山下康介によるモダンな楽曲に、美しい和声感をもつ伊左治直や山中千佳子に委嘱された新作も楽しみだ。共演は森浩司(ピアノ)と関聡(パーカッション)。「B→C」にとっても新たな挑戦となる刺激的な一夜をお聴き逃しなく。
文:小室敬幸
(ぶらあぼ2019年4月号より)

2019.4/23(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
https://www.operacity.jp/