新作楽劇《影向のボレロ》

戊辰戦争を背景に“人の仁”を問う総合舞台劇

 1868年から翌年にかけ、京都鳥羽伏見から函館まで広がった戊辰戦争。中でも現在の福島県白河市は数多くの戦死者が出た激戦地だ。戊辰戦争150周年を迎えた今年度、戦没者を悼み、平和を祈念する新作楽劇《影向のボレロ》が3月24日、白河市で初演される。「影向」は神仏が仮の姿で現世に来臨することを意味し、「ボレロ」はラヴェルの名作に由来する。全4幕11場から成り、和太鼓の林英哲、福島フィルに加えて、プロのバレエダンサー、白河で活動する役者、そして群衆として市民や中高生、市民合唱らが出演するなど、市民総参加型の大作だ。ナレーター(春風亭昇羊)が史実を語るなか、一組の親子の視点を通して物語が展開され、ダンスと音楽が挿入されるスタイル。新撰組もダンスや芝居で登場する。昨年急逝した松下功が担当する予定だった音楽は、高弟の川島素晴が引き継ぎ、松下作品の編曲と新たに書き下ろした管弦楽曲と合唱曲で構成し、指揮も担う。多くの力が結集した《影向のボレロ》。戊辰戦争150周年にふさわしい催しになろう。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2019年3月号より)

2019.3/24(日)14:00 白河文化交流館コミネス
問:白河文化交流館コミネス0248-23-5300
http://www.cominess.jp/