ピエタリ・インキネン(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団

相思相愛コンビにとって初となる欧州ツアーと同演目を披露


 2016年9月に首席指揮者へ就任したピエタリ・インキネンとの蜜月時代も、2020/21シーズンまで延長が決定。このコンビにおける独自のサウンドを築いた日本フィルハーモニー交響楽団だが、その成果のひとつが4月2日から14日に行われる13年ぶりの欧州ツアーだろう。中でもインキネンの故郷であり、日本フィルとはシベリウスの演奏等で関係が深いフィンランドでのコンサート(なんと初訪問!)は、楽団史の中でもモニュメンタルな出来事に違いない。

 このツアーから帰国直後の4月19日&20日、サントリーホールで行われる定期演奏会はツアーの興奮さめやらぬ雰囲気にあふれ、未来への希望に満ちた名演が期待できそうだ。後半に演奏されるシベリウスの交響曲第2番はそのシンボル的な曲であり、ツアー中も繰り返し演奏されるだけに熟成した状態で東京へ持ち帰ってくることが予想される。指揮者はもちろん、楽員の思いがこもったその音楽を聴き逃す手はないだろう。

 ゲスト・ソリストには英国ピアノ界の至宝であり、ツアー最終公演(エディンバラ)でも共演するジョン・リルが登場。味わい深いベートーヴェンを好む方には、なんとしても聴いていただきたい巨匠である(今回は協奏曲第3番)。武満徹の名作「弦楽のためのレクイエム」も含め、ツアーの報告会ともいえるプログラムだが、あらためてインキネン&日本フィルの蜜月を再確認するコンサートにもなるだろう。あなたも興奮の輪の中へ。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2019年3月号より)

第709回東京定期演奏会 
2019.4/19(金)19:00、4/20(土)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
https://www.japanphil.or.jp/