明日を担う音楽家たち 文化庁在外研修の成果

海外で体得した高い音楽性をアピール


 若手アーティストの海外研修を支援する、文化庁による「新進芸術家海外研修制度(旧芸術家在外研修制度)」。昭和42年より実施され、3200人以上の若い才能がこの制度から羽ばたき、国内外で活躍している。本公演は平成28・29年度に在外研修で研鑽を積んだ4人が、その成果を披露する舞台である。

 といった説明だけだと少し固めの公演に見えるが、内容は予想外のひねり具合。なんと、トマジのトロンボーン協奏曲、バーバーのヴァイオリン協奏曲、サン=サーンスのピアノ協奏曲第2番、ルトスワフスキのチェロ協奏曲と、実演機会の稀少な傑作協奏曲が並ぶ。しかも、サポートを務めるのは、充実の演奏を重ねている高関健と東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団。高関はこういった稀少演目の真価を聴かせることに長けており、ソリストと作品、それぞれの最良のパフォーマンスを引き出してくれるはず。

 ソロを務める4人は以下の通り。トロンボーンの森岡佐和は京都市立芸術大学卒業、オランダで学び、現在名古屋フィル団員。ヴァイオリンの清永あやは東京藝術大学大学院修士課程を首席修了、南カリフォルニア大学大学院を修了。ピアノの木村友梨香は東京音楽大学卒業、現在ベルリン芸術大学修士課程に在籍。チェロの山澤慧は東京藝術大学大学院修了後、フランクフルトにて学び、現在藝大フィルハーモニア管首席奏者、千葉交響楽団契約首席奏者。文化庁在外研修の成果と共に、彼らの清新な魅力と気迫をしっかり体感できる、期待の膨らむ公演だ。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年1月号より)

2019.2/21(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:日本オーケストラ連盟03-5610-7275 
https://www.orchestra.or.jp/