ヒュー・ウルフ(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

輝かしいファンファーレが鳴り響くコープランド祭り!


 新日本フィルの記念すべき第600回定期演奏会は、なんと、オール・コープランド・プログラム。20世紀アメリカを代表する作曲家に光を当てる。曲は「市民のためのファンファーレ」、クラリネット協奏曲、交響曲第3番。セント・ポール室内管弦楽団音楽監督他のポストを歴任し、現在はベルギー国立管弦楽団音楽監督のヒュー・ウルフが指揮を務める。
 「市民のためのファンファーレ」はコープランド作品のなかでも、もっとも知られる名曲だろう。吹奏楽の世界でも人気が高い。クラリネット協奏曲はジャズ・クラリネット奏者として名高いあのベニー・グッドマンの依頼によって書かれた作品。ジャズの語法を交えながら、明快で精彩に富んだ楽想が繰り広げられる。ソリストは新日本フィル首席クラリネット奏者の重松希巳江。鮮やかなソロで作品の真価を伝えてくれることだろう。
 交響曲第3番は1946年に初演された作品で、作曲者の最高傑作とも評される。生涯にわたってさまざまに作風を変遷させたコープランドだが、この曲は伝統的な交響曲の枠組みのなかで、アメリカ的なるものを追求した作品といっていいだろう。終楽章では「市民のためのファンファーレ」の主題が引用され、壮麗なクライマックスを築きあげる。
 つまり、この日は「市民のためのファンファーレ」で始まって、「市民のためのファンファーレ」パワーアップ版で輝かしく幕を閉じるのだ。実に魅力的なプログラムではないだろうか。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2019年1月号より)

第600回 定期演奏会 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉
2019.2/7(木)19:00 サントリーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp/