古楽の精鋭集団「アントネッロ」のメンバーで、チェンバロ&ヒストリカル・ハープ奏者として活躍する西山まりえ。8年ぶりのソロ・アルバムでは、マリー・アントワネットの師としても知られる、バルバトルのクラヴサン曲集第1巻の全曲録音に挑んだ。西山は2つの音律を使い分け、歴史的資料を解析してレジストレーションにも細かな気遣いを施して響きを操る。そして、時にはデモーニッシュな表情も露わに。単に「優雅」というフランス音楽への先入観を、あっさり覆す。タスカン・モデルのチェンバロが紡ぐ、独特の音色も印象的。特に底鳴りのするバス声部が、表現に深みと凄みをもたらす。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2018年12月号より)
【information】
CD『クロード=ベニーニュ・バルバトル:クラヴサン曲集第1巻全曲/西山まりえ』
バルバトル:ラ・ド・カーズ、ラ・デリクール、ラ・セギュール、ラ・モンマルテル 又は ラ・ブリュノワ、ラ・ブロンニュ、ラ・カステルモール、ラ・クルテイユ、ラ・ベロー、ラ・ラマルク、ラ・ベルヴィル、ラ・リュジャック、ラ・シュザンヌ、ラ・マルゼルブ 他
西山まりえ(チェンバロ)
OMF
KCD-2063 ¥2500+税