伝統と格式を誇る名門バレエ団による三大傑作
昨年、劇場創立150周年を記念し、歌劇場のオペラやオーケストラと共に日本公演を行った名門「キエフ・バレエ」が今季も来日し、師走の東京・横浜・市川ほか全国を巡演、古典らしさを前面に出した3つの全幕作品を上演する。
『白鳥の湖』は、万人に愛される不朽の古典バレエ。キエフの“顔”として30年にわたり観客を魅了してきたエレーナ・フィリピエワと、同団を支える実力派バレリーナ、カテリーナ・カザチェンコ、オレシア・シャイターノワが日替わりで主演し、純真な白鳥オデットと妖艶な黒鳥オディールを踊り分ける。
『くるみ割り人形』は、少女クララがクリスマスにおとぎの国を訪れ、プリンセスに変身する夢を、チャイコフスキーの甘美な音楽にのせて描いたファンタジックなバレエ。主役に起用された、美しいスタイルと安定したテクニックを併せ持ったアンナ・ムロムツェワやオレシア・シャイターノワをはじめとする、若手ならではの可憐な演技が楽しみだ。
『シンデレラ』は、元芸術監督リトヴィノフの振付・演出による。昨今、意表を突く斬新なバージョンが少なくないが、本作はオーソドックスな演出で、観客をシンデレラ・ストーリーの世界に誘っていく。新人時代にこのバレエに主演して一躍、脚光を浴びたフィリピエワがもう一人の主役である仙女役を演じ、シンデレラ役の若手バレリーナと共演するキャスティングも興味深い。
今をときめくザハーロワやサラファーノフ、ポルーニンといったスターを輩出してきたウクライナの老舗バレエ団の今を見届けたい。
文:上野房子
(ぶらあぼ2018年12月号より)
『くるみ割り人形』
2018.12/23(日・祝)13:00 東京国際フォーラム ホールA
『白鳥の湖』
2018.12/24(月・休)12:00 17:00 東京文化会館
『シンデレラ』
2018.12/27(木)14:00 19:00 東京文化会館
※全国ツアー、配役の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
問:光藍社チケットセンター050-3776-6184
http://www.koransha.com/