【CD】ストラヴィンスキー:ペルセフォーヌ /ラザレフ&日本フィル

 ギリシャ神話の春の女神ペルセポネの再生を描いた“音楽物語”のライヴ録音。ナレーションとテノール独唱に、活躍顕著な合唱を伴う編成も相まって演奏機会のなかった作品が、日本フィルの第700回定期演奏会を機にラザレフの指揮で日本初演され、かつ貴重な録音が残されたことをまず喜びたい。音楽自体は新古典主義的ながら美しい叙情味を湛えており、作品へのシンパシーに充ちた名匠のもとで展開されるナチュラルかつ詩情豊かな演奏も出色。ナレーションと独唱も曲の魅力を引き立てているし、精緻なニュアンスに富んだ合唱陣はこの上なく素晴らしい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2018年11月号より)

【information】
CD『ストラヴィンスキー:ペルセフォーヌ /ラザレフ&日本フィル』

ストラヴィンスキー:メロドラマ「ペルセフォーヌ」

アレクサンドル・ラザレフ(指揮)
ドルニオク綾乃(ナレーション)
ポール・グローヴス(テノール)
晋友会合唱団
日本フィルハーモニー交響楽団 他

収録:2018年5月、サントリーホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00680 ¥3000+税