世界に誇る日本人バレエの金字塔、再び!!
あの『忠臣蔵』がバレエに!? 20世紀を代表する名振付家であるモーリス・ベジャールが1986年、東京バレエ団に振り付けした『ザ・カブキ』(音楽:黛敏郎)は、初演時に一大センセーションを巻き起こした。以後現在までに日本を含む16ヵ国で197回上演され、数々の著名歌劇場でも披露し、世界に誇る名作の誉れ高い。
物語は歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』に基づく。現代の青年が江戸時代にタイムスリップし、主人公の由良之助となり四十七士を率いて主君の仇を討つ——。日本人の忠誠心を扱った物語を歌舞伎の所作や様式美を大胆に生かしながらバレエの技法で描き、和魂洋才の極みといえる。
由良之助が主君の仇を討つことを決意する際の7分半に及ぶ凄絶なソロ、四十七士が壮麗なフォーメーションを組んでの討ち入りなど躍動感あふれる踊りは見どころだ。また主君の未亡人である顔世御前が内に秘めた思いを繊細に物語る舞いや運命に翻弄されるおかると勘平の悲劇といった人間ドラマの名場面に事欠かない。
今回は由良之助役をバレエ団の大黒柱としての貫禄が出てきた柄本弾、しなやかな踊りで魅せる秋元康臣が競演し、顔世御前を上野水香、奈良春夏がダブルで務めるなど多士済々の演者たちが『忠臣蔵』の世界を鮮やかに彩る。
2019年7月、ウィーン国立歌劇場とミラノ・スカラ座で久々に上演予定。初演から30年以上経てなおも世界を魅了し続ける東京バレエ団のお家芸を堪能したい。
文:高橋森彦
(ぶらあぼ2018年11月号より)
2018.12/15(土)、12/16(日)各日14:00 東京文化会館
問:NBSチケットセンター03-3791-8888
http://www.nbs.or.jp/stages/2018/kabuki/