伶楽舎第十四回雅楽演奏会「伶倫楽遊」

平安期古譜の復曲や舞楽から一柳慧への委嘱新作まで

 古典作品はもちろん現代作曲家への数々の委嘱新作の初演で、雅楽界に新風を吹き込んできた伶楽舎。近年では、武満徹「秋庭歌一具」の演奏が高い評価を得て、佐治敬三賞を受賞したのも記憶に新しい。12月16日開催の第14回演奏会のテーマは「伶倫楽遊」。前半は平安初期に書かれ、大戸清上作と伝わる大作「清上楽」を音楽監督・芝祐靖による復曲で披露する。さらに舞楽は、蛇を手にして舞うなどの所作が特徴の右方の「還城楽」が取り上げられ、紀尾井ホールを華やかに彩ってくれる予定だ。演奏会後半には、一柳慧の待望の委嘱新作「二十四節気」が世界初演される。管弦16人編成に古楽器の竽、大篳篥などの楽器が加わるという。一柳によれば、作曲を進めていく過程で、自然の変化を凝視し、ありのままの自然に還る姿勢で音楽に取り組める喜びを感じたという。古典と現代という異なる作品を通じて、雅楽の新しい魅力を体感する機会になることだろう。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2018年11月号より)

2018.12/16(日)14:00 紀尾井ホール
問:東京コンサーツ03-3200-9755/伶楽舎03-5269-2011
http://www.tokyo-concerts.co.jp/