【SACD】死と乙女/ストリング・クヮルテット ARCO

1996年に結成され、いまや全員が都内の名門オーケストラのトップを務めている四重奏団「ARCO」。意外にも16年ぶりとなるアルバムで、人気作「死と乙女」に挑み、彼らの成熟と意欲を伝える。近年は個を抑えて均質性を出す団体も多いが、彼らはバランスをとりながらも個を活かすことを重視。各人が所属オケ等で聴かせるソロの音そのままを楽しめ、演奏姿まで目に浮かぶよう。その上で生み出される熱い一体感で名作の魅力に迫るスタンスも、四重奏の佳き伝統を感じさせてくれる。併録のウェーベルン20代の甘美なロマンあふれる小品は嬉しい発見で、深い共感による好演が聴ける。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年11月号より)

【information】
SACD『死と乙女/ストリング・クヮルテット ARCO』

シューベルト:弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」/ウェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章

ストリング・クヮルテット ARCO
【伊藤亮太郎 双紙正哉(以上ヴァイオリン) 柳瀬省太(ヴィオラ) 古川展生(チェロ)】

アールアンフィニ(ソニー・ミュージックダイレクト/ミューズエンターテインメント)
MECO-1050 ¥3000+税